藍川由美「倭琴の旅」

やまとうたのふるさとをもとめて倭琴と旅をしています

島めぐり(女木島・直島)

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おはようございます、屋島が見える部屋に泊まっていました。
その名の通り、かつては独立した島だった屋島(今は橋続きですね…)
先月乗っためおんフェリーの船上からは、女木島の隣が屋島
というふうに見えましたが。
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すると、左手に見えるのが女木島ということになります。
北に向かって男木島豊島(てしま)と並んでいるわけですね。
先月、直島ゆきのフェリーが停まっていた場所で、小豆島ゆきの
オリーブラインが出航準備をしています。
ZOOMER豊島へゆくには、あのフェリーでいったん小豆島へ行き、
豊島ゆきに乗り換えるしかないところまでは調べました。
それでは帰りも大変なので、何か方法を考えなくては…。
 
上の画像を撮った朝7時の段階では雨が降っていなかったのに
朝食を食べ始めたらザーザーと滝のような雨が降ってきました。
けれど部屋で待機しているうちに小止みになったので予定通り乗船してみます。
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はい、前回と同じ、めおんフェリーです。
10:00発で女木島までの乗船時間が15分。帰りは11:20発で11:40高松着です。
男木島まで行って下船すると2時間以上滞在せねばならず、バイクでないと難しい…。
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小雨模様ながら、大槌小槌と五色台が見えました!
そして、あっという間に女木島着。
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お、鬼ヶ島ですよ…(鬼=先住民をやっつけて乗っ取った島ってこと?)
鬼に迎えられて下船したら雨が降っていたので傘を出しました。
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モ、モ、モ、モアイ像!?
「瀬戸芸」のおかげで(?)、各島にさまざまなモニュメントが出来たそうです。
海岸線に沿って数分歩くと、鳥居がありました。
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扁額は「八幡宮」ですが、Google Mapsにupされていた画像の中に
「豊玉依姫大明神」の扁額をもつ鳥居があったので来てみました。
鳥居をくぐると扁額のない鳥居があり、さらに左奥に境内社らしきものが…。
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たしかに「豊玉依姫大明神」です。
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6/16のブログに書いたように、豊島の祭神たる豊玉彦の娘のうち、
姉の豊玉姫を祀ったのが大姫島=男木島
妹の玉依姫を祀ったのが姪姫島=女木島です。
玉依姫には幾つもの系統があるため、わざわざ「豊」をつけたのでしょう。
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こちらは「八幡宮」の社殿で、前は屋島、後ろは「丸山古墳」のある
御神体山という立地ですが、位置が少しズレてますね。
「豊玉依姫大明神」の扁額は「丸山古墳」のある御神体山と合っていました。
「丸」=ワニなので豊玉族? 「丸山古墳」の遥拝所的意味があるのでしょうか?
 
雨が降っていたものの、時間が30分以上あったので、社頭で演奏修行していたら
後ろから日が射してきました。
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振り向くと少し青空が見えてます。
目の前が屋島なので、屋島の戦いの折は重要な拠点の一つだったのでしょう。
なんと言っても「八幡」は軍神ですし。
屋島の向こうに平たく横たわるのは突端の「大串岬」から特徴的な五剣山へと続く
庵治半島で、平家は五剣山西麓の入江に幾つもの「舟隠し」を作っていました。
 
雨に濡れた晴雨両用傘を乾かすべく、再び傘をさしてフェリー乗り場へ。
港で船会社の方に尋ねたら、ここも平家側だったらしい…。帰って調べなくては。
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高松方面にも青空が見えていました。
鬼さんの左の一際高いビルはサンポートでしょうか?
以前、介護関係からの依頼で『藍川メソッド』の講演&実践をやらせて頂きました。
では高松港へ戻り、1時間後の直島行きフェリーに乗るため、昼食をとります。
高松に着いた時点で雨が上がっていたため、直島のレンタルバイクを予約したところ
30分後に再び土砂降りに!?
迷いましたが、何とかなるだろうとフェリーに乗って直島へ。
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お店はフェリー乗り場の真ん前にありました。振り返ると、大槌島
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この時、雨は上がっていました。ほんの5分前まで土砂降りだったそうです。
しかし、契約書にサインして走り出したとたん、また土砂降りに!?
バイクに屋根は付いてないし、ヘルメットのシェードもありません。
視界がほとんど無い土砂降りの中、走り続けるのは危険です。
やむなく小さな木の下で雨宿りをしましたが、20分経っても雨足が弱まりません。
どこか倭琴の音を出せるところへ行かないと、港まで戻ることもできないでしょう。
意を決して再び土砂降りの中を走り始めました。
 
私は崇徳天皇を目指していました。が、地図を出すことすらできません。
多分この辺だろうと思った場所が工事で片側通行になっていました。
工事関係者の方に「崇徳天皇をご存知ですか?」と尋ねると
「神社なんか行ったことがないから知らないなぁ」と仰います。
ならば、流罪となった崇徳院が上陸したと伝わる琴弾地(ごたんぢ)を探します。
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あああ…あの鳥居だ〜!!
検索したら、やけに足の短い鳥居だったので記憶してました。
手前にカフェの門というか、島内の無料バスの待合所のような建物があります。
門なので奥行が狭く、雨が吹き込むものの、屋根があるので倭琴を出しました。
倭琴ケースは私のレインコートを着せて背負っていたので全く濡れていません。
上も下もびしょ濡れの私は、体温で乾かす方が早いので、そのまま座りました。
それにしても雨が止む気配はありません。
こういう時、何度も倭琴に助けられてきました。信仰では無く、経験です。
調弦しただけで雨が止んだこともありました。
けれど、今回の豪雨はそう簡単ではありませんでした。
 
ただ、私には時間がありました。帰りの高速船まで3時間あったのです。
《阿知女(あぢめ)》《篠波(さざなみ)》《千歳(せんざい)》と海人族の歌をうたっても
雨の音の方がうるさいくらいで全く変化なし…。
そうだ、例の貞観大嘗祭で演奏したら変事が起きたため演奏されなくなった
《磯等》の、省略されたのではないかと思われる歌詞を見つけていたのでした。
一度も練習はしてませんし、楽譜に歌詞を書き込んでもいませんが、
いざという時には初見でも間違えないのが私です。
一か八か演ってみたら通ったので、現行の歌詞ともども四節を歌いました。
かれこれ40分ほど演奏したでしょうか、やっと雨が止みました。
この機に港まで戻らなくては…と思いましたが、地図を確認したら、やはり
さっき道路工事をしていた近くに崇徳天皇があったので引き返しました。
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工事関係者が立っている場所の左奥に鳥居が見えました!
(さっきは逆方向から走ってきたので振り返らないと見えない位置にあったわけです…)
今はコンクリートで固められている溝を川底に見立てれば、崇徳院の船が着いた?
と想像できなくもありませんが、その可能性はかなり低いというのが定説です。
一言だけ書くと、崇徳院讃岐国に配流されたのであり、当時直島備前国でした。
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対馬でたくさん見た、海辺から階段であがる形式の神社です。
ただし私にはもう時間的余裕がありません。
崇徳院が流れ着いた可能性も低いため、残念ながらここで失礼させて頂きました。
あとは琴弾地の近くの黄色いカボチャと港の赤いカボチャのオブジェを撮るだけ…
と思い、直進していたら、ベネッセの私有地だからと止められました。
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港への道は、二股の右側だと伺い、急勾配を登っていたら撮れました。
そこからはひたすら山登りでした。
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そして、そこここに建っていた「通行止め」の表示。
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いかにベネッセの島だとはいえ、バイクではオブジェすら見られないとは…!?
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ガッカリしつつ走っていたら、突然やさぐれたクロネコが道路に出てきました!
危ない!? と思いましたが、人や車に慣れているのかも知れませんね。
 
雨は完全に上がってますが、この山越え、どこまで続くのでしょう。
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あ、大槌島が見えました。かなり港に近づいた感じです。
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砂浜が見える場所まで下りてきましたよ。
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そして、お約束の赤いカボチャ。
バイクをお店に返却しようとしたところで再び豪雨! 間一髪でした。
帰りは50分かかるフェリーではなく、高速船30分=1,220円。視界は無し。
残念な日帰り旅となってしまいました。
 
でも、琴弾地を見ながら演奏修行できた点には感謝ですね。
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初めて《磯等》のフシで演奏した歌詞は次回から定番になりそうです。
こればっかりは机上の空論ではダメ。
古代をイメージできる場所を得て、実際に音を出してみた感触が頼りです。
 
あとで確認したら、ここは「直島ふるさと海の家 つつじ荘」さんでした。
勝手に門を拝借して雨宿りさせて頂きました。ありがとうございました!