藍川由美「倭琴の旅」

やまとうたのふるさとをもとめて倭琴と旅をしています

下総の宇迦大神

12月21日と25日に通りかかった滑河観音にあった「関東ふれあいの道」で
神崎神社の神宮寺並木観音宇迦神社を通るルートを見ました。
世の宇迦(宇賀)神社の祭神が、本来の宇迦大神(宇迦大明神)ではなく
ダーキニー由来の稲荷神に化身したケースが多いため、27日に行ってみることに。
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一昨日と同じく常総大橋を渡ります。
成田市高岡に入るとすぐに「高岡山眞城院」がありました。
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21日のブログに書いた江戸時代に高岡藩(1640-/下総国高岡村)があった場所です。
東へ走ると、月輪台古墳群のあった高(鎌倉期は「多賀郷」、江戸期は「高村」)
小高い丘が見えてきました。つまり私は「香取海」を走っているわけです。
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西の城(じょう)貝塚に隣接する並木観音までは、あと数分。
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え?!「神宮寺」って固有名詞だったんですか?
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扁額のようなものはありませんね…。
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ナギの木の案内板に「妙法山神宮寺」とありました。
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本尊は十一面観世音菩薩。
屋根の崩れ具合が怖くて階段の下で演奏修行をし、振り向くと
ご近所の方が(怪しんで!?)山門の外から様子を窺っておられました。
 
「勝手に演奏してすみません。檀家の方ですか?」
「そうです」
「屋根…は、なぜ壊れてしまったんですか?」
「台風で壊れちゃったんですよ。もうすぐ修理にかかるそうですけど」
「そうですか、なら安心ですね!」
と、部外者のくせに勝手なことを申し上げ失礼しました。
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安心したところで、地図上ではすぐ東にある「疱瘡大神」を目指します。
 
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ところが、地図上の位置は民家で、Google Mapが間違っているとわかりました。
どんどん奥へ進むと、キャノピーでも上がれそうにない道があり
「稲荷神社」と書かれていました。やむなく引き返します。
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引き返していたら、防空壕のような奥深い穴がありました。
まさか横穴式の遺跡ではありませんよね?
いったん公道へ出て、路地を隈なく見て回る作戦に切り替えます。
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人様の敷地内に無断侵入したりしつつ!? 3本目の路地の奥で道標を見つけました。
あまりに簡単ですが、位置関係はわかります。
さっきは、中央のバッテンまで行ってたんですね。あの坂はキャノピーでは
無理だったので、こちらの「遊歩道」から上がれるところまで上がってみます。
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落ち葉で滑りそうになっても、上りは何とかなります。
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石段(?!)があったので少し先にキャノピーを停めて戻りました。
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想像していたより怖くなかったので近づいて演奏できそうです。
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「疱瘡大神」ではなく「疱瘡神」でした…!?
演奏修行を始めると光が入ってきて気持ちのよい空間になりました。
ところが、楽譜2ページ目にさしかかったところでクラクションが!?
 
「ごめんなさい! まさか車が通るとは思わなかったので…」
「ワシの山やからな」
「それは失礼しました」
「ふつうのバイクでは無理な道なのに、○○ギアやから登れたんやな…」
専門用語はわかりませんけれど、バイクはバックできないので
四駆がバックして下さった位置までバイクを手で押して移動すると
「ワシの家は下りた道の真ん前やから、お茶でも飲みに来んさい」
と温かい言葉をかけていただきました。
 
そうそう、「何でこんな所まで来たんだ?」と訊かれたので
「古いカサガミさんじゃないかと思ったもので…」と答えたら
「カサガミさんはここじゃないよ、ゆめ牧場の近くにある…」
「カサモリ稲荷ですよね? でもここも疱瘡神なので同じかと…」
というやりとりがあって、
地主さんは疱瘡神と瘡神を別物と思っておられることがわかりました。
瘡であれ嵩であれ笠であれ「かさぶた」だと私は感じていますが?
今回、下総探訪の最初に行った疣神も仲間ではないかと疑っています。
 
さて、そののちは、中断してしまった神楽歌をやり直さず
別の神楽歌を演って下りることにしました。
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いや、しかし、我ながらよくこんな道を上がったものだと絶句…!!
(地主さんが仰った○○ギアが気になったので調べたら「ディファレンシャル・ギアを装備しているため
コーナリング時に優れた旋回性を発揮する」と書いてあり、私の腕がよいわけではなかったらしい…)
 
せっかくお声をかけて頂いたのに、短い神楽歌に変更してしまい
畑へ行った四駆もまだ下りてこられてないので、先を急ぐことにします。
(いや…、「上まで来たら城跡があるから案内してあげる」と言われたことを失念してました!?)
 
次はここから20分ほどの西和田宇迦神社です。
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神社が山中に位置しているためか、ナビがここで「目的地に到着」と言います。
自力でゆくほかないので地図を見ると、西和田公民館がありました。
西ワダ←ワダツミ(海神)、するとここはかつての入り江ですね。
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私見では、公民館の裏手に回り込み、この左手の山に上がるほかなさそうです。
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おっと、Y字路です。運良く、落ち葉を掃いている方がおられました。
宇迦神社はどの道からゆけますか?」
「そこを左折です。ずっと舗装路ですが、片側は崖です。
T字路で未舗装になったら右折して下さい。ドンツキにあります」
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たしかに、右下を覗き込んだら崖でした。適切な指示に感謝です。
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未舗装路に入ったら左手が崖。その奥に黄金色に輝くものが!?
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イチョウの絨毯です!! Y字路で道を教えて貰わなければ辿り着けませんでした。
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何とスッキリした空間なのでしょう。あかいキツネは…いませんよね?
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逆光ながら、狛キツネではなく、狛犬(獅子!!)に見えます。
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社殿の裏へまわってみました。
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やはり、うしろは断崖絶壁!?
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これは…滅多にない古社の佇まいでしたね。
もちろんトヨウカヒメの神楽歌を演奏させて頂きました。
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帰りに神仏習合の名残りなのか「青面金剛(?)が目に留まりました。
自然が豊かなだけに人工的なものが目立ちます。
 
次の宇迦神社は同じ丘に「天神社瘡間神社」「瘡守稲荷」が鎮座しているようです。
いくら地図を眺めても、どんな立地なのか想像がつきませんが、
住所は神崎町植房、「成田ゆめ牧場」の北です。
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木も高いし、社地も相当広そうです。
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赤い鳥居をくぐると、古社の雰囲気がありますね。
けれど、ここには座れません。社殿正面に凸があるので。
自然に奥へ奥へと足が急ぎます。
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ほら、やっぱりあった!! 古代の円形祭祀場です。
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この社殿が「天神社瘡間神社」のようです。
すると左手に見える小さな祠が「瘡守稲荷」?
画像左端の階段を下りてきました。
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振り向くと、この稲荷社への参道。かなり狭くて苔むした石段なんですね。
この下に着いたら、きっと上りませんでした。ナビに宇迦神社と入れて正解でした。
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再び宇迦神社の方へ引き返してゆくと、赤い本殿が覆屋に入っているのが見えました。
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思いがけず古代的空間で演奏修行できて、3日間の〆としては大満足でした。
部分的にコンクリートなどが使われていても
土の上を歩くというのはとても気持ちのよいものですし。
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さて、どの道を帰ればよいのやら…。取り敢えず来た道に戻り、先に進みましょう。
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右折して道なりに曲がると、もしかして貝塚?! と目を奪われました。
下総の台地を走っていると、どこもかしこも遺跡に見えてしようがありません。
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同じ位置から反対方向を撮っても貝塚に見えてきます。
こういう土地をキョロキョロ走っているだけで楽しいのですからのんきなものです。
一人で走って一人で演奏しているため感染リスクもありませんし。
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16時を過ぎたところで太陽が雲の中へ入りました。
あたかも雲の上に天つ神の国があって、そこから太陽が出てこなくなると
人の世が真っ暗になり、農作物もできなくなるというようなストーリーを
刷り込まれれば信じてしまいそうな光景です。
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16:25、太陽が雲の下に顔を出し、神話の呪縛から解き放たれました。
ここから16:32の日没まで太陽とともに走り、帰宅しました。
 
新年はいつから出掛けられますやら、またご覧いただければ嬉しうございます。
コロナの呪縛が解けて、安心して暮らせる日々を取り戻せますように!!