藍川由美「倭琴の旅」

やまとうたのふるさとをもとめて倭琴と旅をしています

草津温泉

いったいいつ以来の草津温泉でしょう?
つい先日、マエストロから
「いま日本に居るからコーヒーでも飲みに行かない?」
とのメールを頂きまして、もちろん行きますと返信しました。
 
その時は隠していたのですけれど、実は先月、家人から
「今年は草津音楽祭で Claudio Brizi のリサイタルがあるよ。行ってくれば」
と言われ、ホテルを予約しておいたのです(後日メールで知らせました)
とはいえ、この御時世ですから、人の多い場所へ行くのは避けたい。
ホテルは直前でもキャンセルできるため、様子を見ていた次第です。
 
夏休みでもあり、草津音楽祭の期間中はbusyで、一人客お断りの宿もある中、
運良くツインを約2万円で予約できたのですが、直前に予約サイトを覗いたら、
どの会社も4万円~になっていてビックリ!! 食事なしの素泊まりの宿ですよ!?
 
まぁ、ともかくホテルも確保してあることだし、イタリアでは毎日のように
エストロの車で送迎して貰うなどお世話になってきたので、拙宅から
約5時間かかる草津音楽の森国際コンサートホールへ足を運ぶのは当然でしょう。
 
エストロは積年の夢を果たし、楽器博物館のような自宅を建てていました!
 
以前のご自宅は、玄関を入ると、最奥にデンと鎮座するパイプオルガンのために
3Fまで吹き抜けになっていて度肝を抜かれ、どうやって建てたのかが謎でした。
ただ、古いピアノやチェンバロの多くは実家にあり、マエストロが復元した
クラヴィオルガンは近くのスタジオにあるという状態で、使う楽器によって場所を
移動せねばならず、コレクションの全てを並べられる家を建てたいと仰せでした。
↓こちらは画像最奥のクラヴィオルガンで演奏されています。
お尋ねしたら、パイプオルガンは右のグランドピアノの奥にあるそうです。
夢を実現されたマエストロに🥂🍾乾杯!
 
そして木下忠司(1916-2018)先生が私に下さり、あまりにも修復の時間と費用がかかるため
先生ご夫妻の許可を得て贈呈したVioliのピアノも 7年近くかけて修復され並んでいます。
修復にいくら掛かったかは訊かないでおきましょう(確か見積もりは1台数百万×2 !?)
もっと古い時代の↓ハープシコードは描画があるため、まだ復元作業中です。
ちなみに、↑ここに写っているシーズーは先代のアコです。
 
さて、ガラガラの特急の中でゆっくりとお弁当を食べ、ここまで書いたら
そろそろ長野原草津口に着きそうです。
家を出た時は大雨でしたが、晴れてます!
 
長野原草津口駅からタクシーでホールまで来たら「まだ入れません」と言われ、
荷物が多いのでクロークに預けようと思ったら「クロークはありません」とのことで
歩き回れず、ホール入口で撮った画像のみupしておきます。
建物の中に入ったのにauの携帯で画像がupできました!?  携帯の電源を切らねば。
それにしても、周辺にお店も無く、建物の中に喫茶室もないのに、
皆さんベンチに座るなどして待機され、よく我慢されてますね…。
私に足りないのは、この状況下で 1時間待ち続ける“忍耐力”です。
 
コンサート開演前には草津音楽祭恒例のアルペンホルン?!
 
コンサートが始まったら夢中で聴き入ったため、16時〜18時30分という長丁場も
あっという間でした。久々に贅沢な時間を過ごさせて頂きました。
2000年に《蒼鷺》の初演のためだけに来日してくれた Thomas Indermühle も
共演者の一人に名を連ねており、その超絶技巧を堪能させて頂きました!
何と22年ぶりの再会。草津音楽祭では26年前に《阿知女》で共演していますが、
70代になっても悠々と思いのままに音楽を奏でられるなんて素晴らし過ぎます。
ちょっと…というか、かなり刺激されて、私の心の持ちようが変わりました。
たぶん死んだふりをやめて、動き出します。
 
コンサート終了後、「コロナ禍につき楽屋訪問は不可です」と阻止されていたら、
エストロのアシスタントで以前からお世話になっているミホさんが電話をくれて
無事、Claudio にも Thomas にも会えました!!
それから晩ご飯を食べに温泉街へ繰り出したのです。
音楽祭の出演メンバーは全員ホテル泊まりで、食事もついているため、
私など初めて温泉街に足を踏み入れました。
 
小麦アレルギーの私が食べられそうなものを出してくれるお店を予め調べておきました。
私は全く撮っていなかったのですが、馬刺し霜降りの画像、頂きました。
こちらは1~2時間かかると書かれていた和牛レバーの炙り。
低温でじっくりと炙るため生々しさが残り、本当に美味しい一品でした。
 
早朝から楽器の調整などを行ない、長い本番を終えたマエストロは
「ステーキを楽しみにしてる」と仰るのですが、焼いたお肉はこれしかない?!
この鶏のグリルと平目のエンガワが最高にハマったそうで、よかった!!
 
レトロな感じが素敵な温泉街を歩いて宿へ向かおうとする私を送り届けて下さいました。
ほんの200m足らずとはいえ、かなりアップダウンがありました。
ホテルは「湯畑」の東南に位置する階段を上ったところでした。
ツインのシングルユースで30㎡以上あるため広々としています。
 
ここで今日いただいたプレゼントを披露させて頂きましょう。
もの凄く分厚くて重い本です。今日私が嫌になるほど重かった手荷物より重い!!
こんなに重い本をイタリアから持ってきて下さったなんて!?
はい、あの忠司先生の Violi ピアノが掲載されていました。
エストロのコメントは↓こちら。
 
In the Museum of San Colombano in Bologna was introduced the book “Il Pianoforte in Italia “.
During the presentation cerimony I played the restored Violi piano beside the most important historical keyboard instruments in Italy.
 
忠司先生にお見せしたい気持ちでいっぱいです…。