藍川由美「倭琴の旅」

やまとうたのふるさとをもとめて倭琴と旅をしています

「伊福部昭の音楽」の展開

2023年3/31に、6/28のルーテル市ヶ谷ホールを何かに使わなくてはならなくなり、皆で
企画を考えた際、誰一人として、このDVDが世に出るとは想像していませんでした。
2023年5/31に『古代からの声~伊福部昭の歌曲作品』が発売予定だったことから、
レクチャーコンサートでもやれば? とのご意見もありましたが……、それよりも
2024年5/31「伊福部昭生誕110年」にコンサートができるかどうか? が念頭にあり、
ルーテル市ヶ谷に確認したところ、空いていました!
そこから逆算して、皆がスケジュールを出し合い、自ずから開催日程が
2023年6/28、2024年2/4、5/31に決まりました。
その上で、伊福部作品の中では比較的取り上げられる機会が少ない、
未出版の作品を中心に演奏し、YouTubeで紹介してゆこうと決めたのです。
 
演奏曲目としては、先ず、演奏者が誰になるにせよ、《二つの性格舞曲》と
《ヴァイオリンとピアノのためのソナタ》を並べたいと思いました。
1955年にアムステルダム・デュオの委嘱で作曲された《二つの性格舞曲》は
1956年にアムステルダムで初演された後、1961年に作曲者が改訂しています。
作曲家が帰幽されたのち、自筆譜を発見した御遺族が旧知の演奏家に依頼して
2008年8月22日に録音したのが改訂初演ということになるのかも知れませんが、
プライヴェート盤の解説を読んでも、タイトルの《二つ》が何を指すのかが
示されておらず、平安時代に定着したという音楽の《二つの性格》を
理解されないまま演奏されたのではないか? と懸念されたことから、
プロフェッショナルによる演奏と解説を残したいと考えました。
作曲者は1961年の改訂版自筆譜にこう書いています。
《二つの性格》のうち第一を1973年作曲《郢曲「鬢多々良」》のメインテーマに使った。と
しか書かれていませんが、第二のテーマは、1985年作曲《ヴァイオリンとピアノのための
ソナタ》に使われました。これは2曲を並べて聴けばすぐに理解できることです。
ヴァイオリニストが2人出演できる日は5/31のみでした。
そして堀内麻貴さんが2/4と5/31に出演可能だとわかったので、2/4に《ヴァイオリンと
ピアノのためのソナタ》を演奏して作品を把握した上で、《二つの性格舞曲》に
取り組んで貰ったら「楽しい!」「おもしろい!」で緻密なリハーサルを重ねていたので
きっと刺激的で興味深い演奏に仕上がったことでしょう(早くライヴ録音を聴きたい!!)。
 
道庁前のホテル着。無料で使えるラウンジで抹茶ラテを淹れてブログを書いてます。
 
さて、2023年6/28に話を戻します。
せっかくホールでライヴ録音したにも拘らず、気管支喘息の発作に襲われてコンディション
不良だった私の演奏を使うのは難しいとの判断で、YouTubeの開設を先送りにしました。
その直後、伊福部先生のご長男・極氏から、札幌時代にヴァイオリンを教えていた
眞柳潔氏が撮影され、自由にお使い下さいと尾山台までお届け頂いたビデオがあると
お聞きしました。2003年5月14日撮影のVHSでした。
 
ただ、このビデオはそのまま世に出せるような状態ではありませんでした。
声のバランスが、ビデオを持って撮影している眞柳氏が10としたら、伊福部先生は1~3。
各々の声を少しずつ摘まんで音量を変える作業を100~200時間? 画像が粗くて
暗い部分を少しでも見やすくする作業も100~200時間ほどやって頂いたでしょうか。
少し見やすくなった時点で、今度は私に文字起こしをせよと振られました。
すでにカメラータ・トウキョウに多大な労力を費やして貰っていたので、やるしかない!
テロップも、文字の大きさや書体、人名の日本語表記とローマ字表記をどう揃えるか…等
課題が山積していました。7回位チェックしたので 300時間は費やされたのではないかと?
 
こうして少しずつ形になってはきましたが、肝心なことがクリアできていません。
それは作曲者の了解です。二十代から「こうあるべき」を教え込まれたため、
このままでは先生がお怒りになることは間違いないと分かります。
作曲家が、作品ではなくコメントを出されて喜ぶと思いますか? と言われることは
明白なので、ここは先生が絶対に演奏して欲しいと仰っていた曲を演るほかありません。
こんなことになるとは思わず、2/4は《シレトコ半島の漁夫の歌》を入れていました。
これをオリジナル版《アイヌ叙事詩に依る対話体牧歌》(1955)に変える必要があります。
コンサートを無料にしておいたからこそ、サクサク変更できました。
その後の伴奏楽器の変遷については↓こちらに書きました。
 
しかしながら、収録時間があまりに短く、「このままでは出せません」とのダメ出しが!?
「6/28の《蒼鷺》と《摩周湖》は共演者の名演が光りますが、それを藍川さんの声の
都合だけでボツにしていいんですか?」
ええ~~~?! そこまで言われなくてはなりませんか?
「この歳になって、わざわざ恥をかかなくても…」の声は届かず、
「ライヴなので多少の恥は減免されますよ」と、泣きたくなるような言葉ばかり。
ほんとうに申し訳ございません。
 
こうして、ブックレットの印刷やプレス作業に入ったわけですが、
思ってもみない事態が勃発!!
それで、今、札幌に来ている次第です。続きは明日…。
 
アイスキャンディーと氷とカフェラテを部屋に持って帰りました!
 
これから念願の「なつめ」さんへ行きます。
道庁の庭を見ながら、棗(なつめ) 赤れんがテラス店まで。ホテルから徒歩3分ほど。
ヨーロッパでよく見かける、建物を描いた布を掛けての工事です。
振り向くと、この通りの右手が赤れんがテラスです。
さすがのディスプレイですねー「棗」。私も「棗」が大好きなんです。
巨きな野菜たち。そら豆を焼いて貰いたかったけれど…。
厚岸の牡蠣があると聞いては…(昔、厚岸まで牡蠣を食べにゆきました)
ものすごくピュアな牡蠣で、言葉も出ませんでした。
さらに、メニューには載せていないけれど、ニシンがあるとのこと!!
なんたる幸運! 当然、追加させて頂きました。
明日は明日の予約があるのですが、キャンセルしてここに来たいですね…。
ホッキツブ貝も絶品でした。そしてホッキを追加…。
画像をupしているだけで、また行きたくなってきます。
旬のシャコも、ウニもおかわりしたい美味しさでしたが、他にも沢山いただいたので。
甘エビも肉厚・濃厚で、北陸とは風味が違いますねと申し上げたら、大将のご先祖が
氷見のご出身で、三男だったので北海道へ渡ってきたと仰り、富山県から来た人が
多いんですよとお話し下さいました。まさしくブックレットに開拓民について
更科源蔵氏が書かれた歴史を引用させて頂いたばかりだったので不思議な気がしました。
絶品ドレッシングのサラダも頂き、茶碗蒸しも注文しました。
「うちのは中まで蟹がビッシリ入ってますよ」と仰る通り、人生最高の茶碗蒸しでした!
茶碗蒸しはもう一種類あったので、再度お邪魔させて頂くかも?
握りだけでも20カンほど頂いて、お店を出たら、まだ19時過ぎでした。
ホテルが見える距離なので、時間に無駄がなく、久々に友人と長電話をしてしまいました。
5/31に市ヶ谷までお運び下さった皆さま、本当にありがとうございました。