藍川由美「倭琴の旅」

やまとうたのふるさとをもとめて倭琴と旅をしています

帰省(青ノ山山頂古墳群)

高松空港からタクシーに乗るつもりが、隣県から助っ人が!?
有り難いことに、全くまわれていない空港周辺の神社に立ち寄りつつ
宇多津まで送って下さることになりました。
結構なまけ者なので、空港からタクシーで演奏修行に行ったのは
僅か数回。だいたい宇多津へ直行してしまいます。
こう暑いと、一人ではなかなか頑張れませんよね…。
宇多津は瀬戸内海沿岸ですから、空港を出るとどうしても北に
向かって走りたくなります。南側を走ったことはありません。
 
先ずは、真南の下倉八幡神社(高松市香川町安原下)へ。
大正5年に近隣の11社が合祀されています。
対のはずの石灯籠が、各社から持ち寄ったためか、バラバラです。
特に見るべきものもなさそうですが、空港ができたことの影響、
鎮座地の元々の地形が安堵されているかどうかに興味があってやってきました。
われわれは正面の石段を上りましたが、右手に急勾配ながら車で上がれそうな
道がありました。さらに上に登る道があって、何があるのか興味津々ですが?
合祀に合祀を重ねられた下倉八幡神社ながら、
八幡神が誕生する以前からの祭祀を感じました。
↓こちらがヒントになりそうです。
「亢龍(こうりょう)」とは天空高くのぼりつめた龍。転じて富貴、栄華をきわめた者の喩え。
 
空港と神社の間を走る国道377号線は、
徳島県鳴門市から香川県観音寺市を結ぶ、讃岐横断道路です。
コトデン羽床(はゆか)駅近くで綾南(りょうなん)バイパス32号線と交わる
坂出・宇多津・丸亀方面へ行くのに好都合な道路なんです。
この377号線を起点にして、綾歌郡綾川町枌所(そぎしょ)東の本谷神社
川上神社へ行ってみようと思います。3社とも空港から約1kmです。
この綾川町枌所東は南北にかなり広く、神社や薬師堂、大師堂が
数多く現存しています。しかも階段上に社殿があるという共通項が。
綾川町南部に位置する枌所では、山間地の過疎化、高齢化、後継者不足で
荒れ果てた個人所有の山林を「里山再生」のスローガンのもとに
香川県が主導した「里山オーナー制度」をNPO『枌所里山くらぶ』が
引き継ぐ形でボランティア活動が続けられているそうです。
こちらは本谷神社の脇道で、鳥居の石段を登らずに社殿に到達できないか
道を探してみたのですけれど、社殿は上の高い場所にあります。
そして道は行き止まり!? 地図を見たら「本谷ダム」とありました。
ここに限らず、綾歌郡にはこういう小さなダムが多いようです。
 
次の川上神社は同じ綾川町枌所東ですが、綾川沿いにあります。
川上神社という名前から、最初、肥前国一ノ宮からの勧請かと思いましたが、
綾川が大きく迂回した場所にあるため、やはり川を司るという意味かと。
しかし、そうなると、この猛禽類のような彫り物が解せません。
天平年間(729~749)に僧行基が社殿を改修し巫女を置いて祭祀させたと伝わり、
祭神は水速売命と言われるため、波とか龍とか水に関わる彫り物なら分かるのですが?
社殿から振り返ると、左手から正面にかけて綾川が迂回してます。
綾川沿いなので、古くから水を司る神として祀られていたと考えるのが自然でしょう。
なお、当社から南の竜王山にかけて2つの川上神社があり、3社が一直線に
並んでいるため、もっと重要な勢力圏があったのかも知れないと妄想しています。
いずれバイクで行ってみるつもりです。
ユニークな注連縄ですね。常陸国ではこのような注連縄に藁で作った酒樽を
ぶら下げているのを見たことがあります。
もしかすると、こういう物が民族移動のヒントになるのかも?
 
飯野山方面へ進み、今は丸亀市となった綾歌郡綾歌町岡田東の椎尾神社へ。
仁池(にいけ)という小さなダム湖に隣接しているそうです。
香川県の神社としては珍しく、祭神が天御中主神だったので
足を運びましたが、さすがに「崇神天皇の御代」はないでしょう。
むしろ明治以前は「妙見大明神」だったことに興味をひかれます。
社殿までに幾つ鳥居があるのでしょう。
もしかすると、大変な古社なのかも?
こちらもユニークな注連縄でした。しかも、この瓦は!?
あ!?  七曜紋(しちようもん)ですね! 七曜紋は北斗七星を象徴するため、
明治以前は妙見信仰であったこととも合致しています。
 
箱庭のようにこぢんまりとした讃岐のことゆえ、雲仙や高来の峰々を
走るような雄大さはありませんが、ここが我がふるさとです。
↑ その象徴的な場所が青ノ山で、古代「喪」を表わす「青」(awo,wou)の
山には古墳群があり、18歳まで毎日のように眺めていました。
青ノ山の駐車スペースまで来たら、讃岐富士たる飯野山が見えましたが、
この角度からは今ひとつですね…。
 
山頂の古墳に遠足にゆくのが宇多津小学校の定番でしたが、
今は駐車場から先も舗装路!? てくてく登って古墳まで来ました。
当たり前ですが、60年前とはずいぶん違います。
昔はむき出しになった石室がドカンと置かれていただけでした。
ふと左手を見ると、木々の間から瀬戸内海が見えました。
この様子では雲がかかって夕陽がみえないかも知れません。
山頂部より北に、展望台があるはずです。
ここからは瀬戸大橋が一望できます。そして待つこと数分。
子供時代に見た夕陽はもっと大きかったような気がしますが、
季節によるかも知れず、拙宅から近いので、また来てみます。
 
青ノ山からは宇多津駅前の塩がま屋さんへ直行!
コロナ前にお邪魔したきりなので5年はご無沙汰してましたか?
すでに讃岐名物として定着した骨付鳥ですが、
塩がま屋さんはその日に届いた鶏肉を焼くため
ジューシーで、とても美味しいんです。
小麦アレルギーの私は、うどん屋さんに来てもうどんが食べられず、
トッピングの讃岐牛のみを頼みました。
古い知り合いゆえ、どうかお見逃しください。
このほか、私のために特別な食事をご用意くださり、
故郷の皆さまの温かさに感じ入った次第です。家人が
「塩がま屋さんへ行きたい」「塩がま屋さんのうどんが食べたい」と
言うはずですね。それが帰省に同行する目的だそうで…。
では、また、下旬に。