藍川由美「倭琴の旅」

やまとうたのふるさとをもとめて倭琴と旅をしています

うたの寺子屋

久々の「うたの寺子屋」です。
慣らし運転という感じで、まったりと出かけました。
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弁当フェチの私ですから抜かりはありません。
東京駅で、黒毛和牛を低温調理したローストビーフ弁当を買いました。
タレはお醤油に小麦が含まれているため使わず、極薄の塩味で頂きました。
ミシュランガイド東京」で7年連続三つ星を獲得した「青山えさき」が
2018年10月に八ヶ岳に移転し、「八ヶ岳えさき」としても
食材や無添加にこだわったお弁当を提供して下さっています。
エキュート東京の中にあって便利なので、よく話題に上ってますよね。
お店の並びに「平田牧場」のお弁当もあるのですけれど、トンカツは絶対に無理。
日帰りなので、帰宅後、「平田牧場」の生姜焼き用を無農薬生姜で食べます。
 
さて、今日の「うたの寺子屋」は、中高生が目立ちました。
約30人にそれぞれ御家族が同行されていました。
何となく、私の左手に並んで聞いて下さった大人の方々の熱量の方が
高い気がしたのは思い過ごしだったでしょうか?
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あら、仁王立ちですみません!! 一応、大地にドカッと立っているつもり…。
最初に股関節を弛める運動をやり、続いて仰向けに寝て腹式呼吸のチェック中。
しかし、
座ると、中央に陣取った浄財箱に遮られて右手の人たちが全く見えません。
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…ということは、浄財箱の向こうにいらした方々からは倭琴が見えなかった!?
何ということでしょう、ごめんなさい!
言い訳をさせて頂けるなら、私が座る場所も円座も用意されていなかったため
靴で歩いているタイルの上に座るほかなく、ここが中央付近だと思ったのです。
後の祭りながら、途中で「見えない」と仰って下さればよかったのに…。
お話しした通り、今日は弥生時代の登呂遺跡から出土した琴と同サイズの
倭琴を持参したので、是非ご覧いただきたかったのですが。
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当然、演奏の様子も見えなかったわけですよね?
それにしても、なぜ、浄財箱越しの写真しかないのでしょう?
ま、クマが酷くて、とても人前に出られる顔ではありませんでしたが…。
あとの画像は参加者の顔が写っており、肖像権をクリアしていないため使えません。
 
今日の会は普通に考えれば大失敗…ということになりましょう。
しかし、ご本人達が楽器を見ようとされなかったわけですから、仕方ありません。
 
実は昨日、中1のサッカー少年とサッカー談議をして、その聡明さに
感銘を受けていたため、同年代なのに相当なギャップを感じました。
中学生ながら物言いがハッキリしていて、私の発言に対しても、
「それを決めたのは誰ですか?」などと突っ込んでくるので
話がどんどん深く面白くなってゆきました。
お母様は
「サッカーの指導者が小学生でも子ども扱いせず、例えば
この戦術をどう考えるか、自分が監督だったらどんな打開策をとるか
レポートを書いてきなさいと課してくれることが大きい」
と仰せでした。
指導者の言いなりになって動く子どもではなく、
自分で考えて動く子どもを育てるって素晴らしいですね。
 
私の「うたの寺子屋」のテーマは
自分の身体を知ること、自分の身体をコントロールできるようになることなので、
こののち今日のストレッチを毎日続けられるかどうかによって結果が決まります。
どうかご自身で健康的な身体と人生の荒海を泳ぐ力を手に入れて下さいね!
 
なお、日本の国楽たる壱越調律旋の話は国家のしくみを理解するためのものです。
日本がいつまで《君が代》を国歌としていられるのか、興味が尽きません。
 
 
【追記 翌24日】
私が帰った直後の子どもたちの反応について御連絡いただきました。
「ん」の発音がMになったりNになったりする理由がよくわかったとか、
君が代》のメロディーが約1,300年前の壱越調律旋で作曲されていたと知り
国楽の歴史の長さに驚いたとか、話し合っていたそうです。
中でも、
純正律の倭琴伴奏で歌った《君が代》に関する
平均律のピアノ伴奏による《君が代》より歌いやすかった。
・初めてきれいな音楽だと感じた。
・目の前に大きな海が広がっていった。
との感想には"花丸"を差し上げたく思います。
 
平均律のピッチと雅楽のピッチを聴き比べて頂いた際の驚き方に
耳の良さが現われていたので、倭琴は各音を十二平均律に合わせないで
レ&ラ, ミ&シ, ソ&レの完全5度、レ&ソ, ミ&ラ, ラ&レの完全4度、
ミ&ソ, シ&レの短3度、ソ&シの長3度を完全に調和させて
純正律に仕上げると説明し、実際に調絃の様子を見て頂きました。
ちょっとでも音が狂うと、響きが濁ります。
音程がピタッと合った純正律で歌うと本当に気持ちがいいですね。
 
そして、8世紀から現在まで国楽を奏でてきた6絃の和琴のルーツは
北部九州の海人族が使っていた5絃の倭琴にあり、
その奏法は穢れを洗い流す波の音を模していました。
倭琴伴奏で《君が代》を歌っていたら目の前に大きな海が広がった
との感想は的を射ていたわけです。