藍川由美「倭琴の旅」

やまとうたのふるさとをもとめて倭琴と旅をしています

2020-01-01から1年間の記事一覧

下総の宇迦大神

12月21日と25日に通りかかった滑河観音にあった「関東ふれあいの道」で 神崎神社の神宮寺並木観音~宇迦神社を通るルートを見ました。 世の宇迦(宇賀)神社の祭神が、本来の宇迦大神(宇迦大明神)ではなく ダーキニー由来の稲荷神に化身したケースが多いため、…

香取海の荒海(あらみ)貝塚

暦が新しくなる冬至(12/21)に演奏修行をした"磯部"の姫宮神社は 現在、白鳳カントリークラブ(成田市磯部)となっている台地の北に鎮座。 鳥居の中からゴルフコースが見えてました!? その白鳳カントリークラブの南、根木名(ねこな)川と荒海(あらみ)川の合流点…

冬至・クリスマス・神楽歌

2020年の冬至は(計算上)12月21日19:02なのだそうです。 北半球ではこの日が1年のうちで最も昼(日の出~日没)の時間が短いとされ、 暦の上では冬至で1年間の干支が切り替わるのだとか。 冬至はまた、日本や中国のみならず、世界各地で重要な"節目"の日とされ…

石清尾山古墳群

高松市の栗林公園の西に一大古墳群があると知って 行きたいと思いつつ何年も経ってしまいました。 現在の地図を見ると、かつては島だった可能性が高そうです。 峰山公園があるため「峰山」かと思いましたが「石清尾山」らしい…。 少なくとも古墳群の名は石清…

龍と瀧

徳島県海部(かいふ)郡海陽町相川に阿津(あづ)という字(あざ)があって そこに「式内室比売神社」の有力な論社阿津神社があります。 『阿府志』に 「室比売神社、相川村室津と云ふ所に在り。安津明神と号す、吾田鹿葦津姫を祭る。 又木花咲耶姫、大山祇等大宣…

丹生の道

阿波国一ノ宮「天石門別八倉比売神社」の論社の一つ 上一宮大粟(おほあは)神社の社伝に 大宜都比売神が伊勢国丹生の郷(現 三重県多気郡多気町丹生)から 八神を率いて粟に降臨したとあります。 そして「大粟八神」として次の八社が列挙されていました。 1. 腰…

景行天皇の土蜘蛛征討(豊前編)

豊前国(とよくにのみちのくちのくに)の風土記に曰(い)ふ。 田河郡(たがはのこほり)。鹿春郷(かはるのさと)郡の東北のかたに在り。 此の郷の中に河有り。年魚(あゆ)在り。其の源は、郡の東北のかた、杉坂山より 出でて、直に正西(まにし)を指して流れ下りて、…

哿襲 & 資珂嶋

筑前国(つくしのみちのくちのくに)の風土記に云(い)ふ。 筑紫国に到れば、先づ哿襲宮(かしひのみや)に参謁(まゐ)るを例とす。 哿襲は可紫比なり。(『万葉集注釈』巻第四 六-九五七) 幾度も訪れた福岡なのに、『筑前国風土記』に云う 「哿襲宮=香椎宮」へは足…

祖母山と古祖母山

大分県と宮崎県にまたがる傾山(かたむきやま)や大崩山(おおくえやま)など 祖母山(そぼさん)を中心とする山および河川一帯は 1965年に「祖母傾国定公園」に指定されています。 祖母山周辺は銅、錫、鉛、マンガン、水晶などの鉱物資源が豊富で、 祖母山山頂の…

祖母山と阿蘇山

祖母山(そぼさん)は大分・熊本・宮崎の県境に位置する標高1,757mの山です。 祖母連山の主峰で、九州本土第三位、宮崎県の最高峰でもあります。 その西にある阿蘇山は、大型カルデラと高さほぼ900m以上の雄大な外輪山を持ち、 カルデラ内部の高岳・中岳・根子…

薦神社と宇佐神宮の祭祀

長いあいだ神楽歌《薦枕》のことを書いてきて、やっとこさ薦神社へ。 台風14号の影響で、ここ二、三日、九州への空の便は欠航が続きましたが、 私が予約した便は大丈夫そうです。 しかし遅延すると、接続の新幹線および特急に乗れません。 日程が一泊二日し…

高瀬川(現 菊池川)

宮中御神楽(みかぐら)の源流が海人族の歌にあることは疑いようがなく、 中でも《薦枕(こもまくら)》のことは何度も書いてきました。 歌い出しが「薦枕や 高瀬の淀にや〜」で、高瀬川のある場所は 海人族の重要な拠点の一つであったに違いないと考えています…

八女とヤベ

昨夜21時にStudioAikawa着、今朝9時にタクシーで宇多津駅へ。 美しい瀬戸内海を見ながら岡山、新幹線で久留米、約3時間の旅です。 やっと念願の八女津媛(ヤメツヒメ)神社へ行けます。 住所が八女市矢部村北矢部、近くに矢部川源流公園があります。 ここを目…

景行紀の「ヤメ」「ヤベ」

7/24のブログで、神武紀における女首長の誅殺を取り上げました。 yumiaikawa.hateblo.jp しかし、"天皇にまつろわぬ民"の征討はまだ続きます。 本項では『日本書紀』巻第七の景行紀を取り上げたいと思いますが、 第12代景行天皇の時代には「…ヒメ」と名乗る…

古関裕而と伊福部昭 (モスラ vs ゴジラ?)

何十年か前、某放送局が、1930年初頭に新聞紙上を賑わせた 古関裕而(1909-1989)「チェスター社主催作品公募入選二等」という 記事をもとに番組を作ろうと企画したそうです。 ところが、イギリスへ取材に行くと、チェスター社はすでに無く、 図書館にもヒントになり…

朝ドラ『エール』のモデル古関と山田

朝ドラ『エール』の放送内容に関連して、 「ドイツに留学し、日本人ではじめて交響曲を書き、ニューヨークの カーネギーホールで演奏会も成功させた山田が、いかに優秀とはいえ、 親子ほど年齢が離れた、田舎の一青年を恐れていたとはやはり断定し にくいで…

女首長…トベ

神武の東征以前、日本列島に居た先住民らは ヤマト王権がつくった建国神話や『日本書記』などの歴史書で 鬼、土蜘蛛、国栖(くず)、佐伯(さへき)などの蔑称を与えられました。 いわゆる“天皇にまつろわぬ民”ですが、その中でも 私が興味をひかれたのが「…トベ…

さぬき広島

今日は高松から客船で豊島(てしま)へ行き、 電動バイクをレンタルして島をまわるつもりでしたが、 天気予報を見て止めました。 しかし、昨夜、家人に「明日はどうするの?」と訊かれ、 「たまには静養させてもらおうかと思って…」と答えたのは 嘘になってし…

島めぐり(女木島・直島)

おはようございます、屋島が見える部屋に泊まっていました。 その名の通り、かつては独立した島だった屋島(今は橋続きですね…)。 先月乗っためおんフェリーの船上からは、女木島の隣が屋島? というふうに見えましたが。 すると、左手に見えるのが女木島とい…

アヅミノイソラ

先月、初めて女木島・男木島行きのめおんフェリーに乗りました。 大槌島・小槌島の間の「槌ノ戸瀬戸」を見るためです。 当然ながら新型コロナウィルスの感染拡大防止のため、 高齢者の多い島への上陸は自粛。 デッキを埋め尽くしていた外国人の団体さんがご…

身に余るお言葉、有難うございます!

友人から『レコード芸術』(音楽之友社/2020.6.19)の一頁を添付したメールが届きました。 拡大してもハッキリとは読めないのですけれど、私のように音楽雑誌を読む 習慣のない人間は、読者投書欄までチェックされることに驚くばかりです。引退して4年になる私…

塩飽諸島と「人名」

瀬戸内海の岡山県側 下津井沖から香川県側 丸亀沖にかけてのエリアは 「塩飽(しあく・しわく)」と呼ばれてきました。 今は瀬戸大橋があるので古代とは景色がまるで違いますが。 こちらは昨日見に行った大槌・小槌と、小槌に近い大崎ノ鼻。 槌ノ戸瀬戸は深い…

槌ノ戸瀬戸

わが故郷に2つのオニギリ島があります。 五色台スカイラインを北上してゆくと 眼前に2つの島が重なるように見えてきます。 五色台の突端 大崎ノ鼻から瀬戸内海を見るのが大好きな私。 列島中の突端を見に行きたくなった原点…というか原風景です。 北の大槌島…

竺紫の日向の橘の小門の阿波岐原

2016年2月10日、奈良文化財研究所が 鳥取博物館所蔵の弥生時代の銅剣に線刻画があったと発表。 鋳造後の青銅器から線刻画が見つかったのは初めてで、 図柄はこれまで鳥取県を中心に木製品などから見つかったサメでした。 銅剣は儀式用と考えられていることか…

渡り来しもの

古来、宮中の神殿に祀られている韓神(からかみ)と園神(そのかみ)。 北が百済神たる韓神、南が新羅神たる園神だそうです。 yumiaikawa.hateblo.jp 韓神は百済神=三島神=大山積神、園神は新羅神=八幡神とされ、 宮中に祀られている以上、全国各地に鎮座する…

大滝鍾乳洞・縄文鍾乳洞

2013年10月、2億年前は海底だったという安久田の里を訪れました。 http://www.jade.dti.ne.jp/onodera/amagatari5.html#hak 「あく」と聞けば 『外宮摂末社神楽歌』に歌われる「志摩国知久利ケ浦におはします 悪志赤崎(あくしあかさき)~」や、「しほやく→し…

五色台 白峯

春は霞…? そうでなくとも靄ることの多い瀬戸内です。 昨日は桜がほぼ終わっていて、今日がラストチャンスだとしたら 絶対にここ!という私が大好きな桜のポイントへ行って来ました。 坂出から高松に跨がる五色台の西端、坂出市に属する白峯です。 午後のJAL…

阿讃山脈の龍王神

午後が空いたので、前々からチェックしていた 空海創祀の龍王社を探しにゆくことに。 ところが、これが経験したことがないほど大変な冒険になりました。 地図を見ただけでは舗装路か未舗装路かわかりませんので!? 最初の冒険は、県道4号線です。 どうルート…

筑波山南麓「白滝道」

2020年の誕生日が 2020.02.02 なので 何か記憶に残ることを…と考えましたが、 新型肺炎禍の中わざわざ電車に乗る? ということで、これまで敬遠し、行かないと決めていた 筑波山へバイクで行ってきました。 古代歌謡の舞台を探して演奏修行することを自らに…

しらき神

万葉集で「新羅奇」、出雲風土記で「 志羅紀」などと表記された 「しらき」は、元来「 新羅城」の意との説があります。 古代の朝鮮半島南東部にあった新羅(前57年〜935年)は、 半島北部の高句麗、半島南西部の百済との並立時代を経て 7世紀中頃までに朝鮮半…