7/15に羽田空港12:10発→14:45発に変更を余儀なくされたため、再訪にあたり
大分空港で前回の運転手さんと待ち合わせてます。
奈多海岸が良質な砂鉄の産地だったこと、奈多宮の境内より西の
この小熊山古墳・御塔山古墳のある地域はかつての東国東郡奈狩江村です。
近現代には、奈多鉱山・安奈田鉱山が鉄を採掘していました。
すると、奈多海岸に奈多宮が鎮座していたように、安岐町にも当地の
繁栄ぶりを伝える神社があって然るべき…との興味から、殆ど情報が無く、
地図に道が記載されていない山口山神社へ行ってみることにしました。
運転手さんも住所をナビに入れてくれていましたが、現地へ行くと
とても車が通れるような道では無いとわかりました。
そこで私が、「さっきの曲がり角まで戻って頂くと農道というか
参道らしきものがあると思うのですが?」とお願いしました。
「カーブだし、ここには駐車できないと思いますよ」と言ってみても
「田舎道だから大丈夫、大丈夫」と、タクシーを路肩に停めてしまいました。
「ここだと思うんですよ…」
「え? まさか…」

「一人で行ってきますから御心配なく」と申し上げても同行して下さいます。

振り返ると、さっき登った道のガードレールが見えました。
「あの道を登るということは、神社までうんと下ることになり、
帰りは長い上り坂を登らなくてはならないので、体力の無駄遣いです」

「ほら! いい感じの参道じゃありませんか」
「本当に到達できますかね?」
「絶対に大丈夫。長年の勘のようなものですけど」

「あれが先ほどの道路を上がって行った集落ですよね?
地図ではあの先に道はありませんでした」
あの山口の集落の方々の産土神が山口山神社なのでしょうか?

あ、あの橋ですよ! 橋の画像を見て、禊ぎ場のある神社だと思ったんです。

「水がきれいですね」
「この暑さですから、泳ぎたくなりますねぇ」
車を降りた途端、顔から汗が噴き出てとまりません。

橋を渡っていたら、円形に注連縄で結界が張られているのが見えました。

鳥居の扁額は「山之神 貴布禰 両宮」で、なぜか鳥居上部が二分割されていました。
もちろん「山之神」が地主神で、「貴布禰」はあとから被さったのでしょう。

地図に道の無い神社なのに、廃れた感じがありません。
拝殿よりも本殿の覆屋の方が高く造られているのは珍しいですね。

奥の扉が閉ざされているので、本殿は見えません。
拝殿は開け放されているのに、中には落ち葉一枚落ちていませんでした。

雷鳴が轟いていましたが、陽射しがあったので、外で演奏修行させて頂きました。

樹木に覆われているのでわかりづらいですが、陽射しが強い。

苔むした狛犬さんたちに別れを告げて橋に差しかかると、
来た時に舞っていた大きなクロアゲハが近づいて来ました。

下から見たら黒一色だったのに、上から見ると青紫の蛍光色みたいです!?
私の周囲をグルグル廻っているのに、近すぎて撮れません。

橋のコンクリート面にとまってくれるかと期待しましたが、静止してくれません。
「オオルリアゲハですかね?」と運転手さんが仰っていましたが、
いま調べると、カラスアゲハのようでもあります。

ともかく久しぶりに古代祭祀場の雰囲気に満ちた場所へ行けて大大満足でした。

左手に先ほどの集落への上り坂が見えました。

橋を挟んで反対側のここが禊ぎ場だったのではないかと感じました。
古代は、鉱山で働く人々と修験者が重複する場合があったと思われ、
ここが山の口として、山へ入る人々の穢れを祓う場だったのかと妄想しました。
名残惜しいけれど、満ち足りた気持ちでタクシーへと戻りました。
すると、突然の雷雨!!
「どうされますか?」と訊かれたので、
「メールに書きましたように、今日は一社目だけで十分ですので

さすがに車を降りて歩くしかなく、こののちタクシーはバックで戻りました!?
ここ杵築市大字鴨川148番地の八幡社は
「2016年06月15日を以て合併による解散等」となっていました。

あれま!? 奥に石祠が見えていて、手前にまだ建物が残っているのに
柵というか金網で遮られていて入れません。残念無念…。
舗装路に戻ってから杵築駅へ向かう途中、写真を撮りましたが、
どこが八幡社跡なのかはわかりません。
ただ、道路とあのこんもりの間に高山川が流れており、水運に頼る比率が
高かった古代の神社としては最高の鎮座地だったはず…と感じました。

ここ鴨川の八幡社と若宮八幡社(7/15に訪問)は東経が131.610。
石清水八幡から勧請された祭神はいったん鴨川に遷座したのち、
真南に1.5km下った同じ東経の現社地に遷座し、
2016年に完全に合祀された可能性は否定できないようです。
こちらは更に調査を重ね、再訪したいと思います。
さて、銅・鉛・亜鉛を採掘していた鉱山は国東半島の北部、
いわば国東半島の付け根あたりにありました。
いうことになっています(滅ぼされることを避けて?)。