藍川由美「倭琴の旅」

やまとうたのふるさとをもとめて倭琴と旅をしています

阿讃山脈の龍王神

午後が空いたので、前々からチェックしていた
空海創祀の龍王を探しにゆくことに。
ところが、これが経験したことがないほど大変な冒険になりました。
地図を見ただけでは舗装路か未舗装路かわかりませんので!?
 
最初の冒険は、県道4号線です。
どうルート検索しても猪ノ鼻トンネルを通る32号線が出ますが、
往復とも同ルートだと面白くないので、「丸亀三好線」たる
4号線上に何ヶ所かポイントを置いて無理やり設定しました。
つづら折れが続くため、32号線より30分も余計にかかります。
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これは…相当ひどい道みたい!? でも、あの屏風を越える冒険ですから!
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初めて見た塩入ダムとダム湖。手前に塩入温泉郷がありました。
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何と塩入ダム湖の上流・下流は財田川でした!!
もっとずっと下流観音寺市では何度も見ましたが、
思いがけず、かなり源流に近い場所まで来ることができました!
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なんだ、普通の道じゃない…なんて思っていたら、この先
道幅が狭くなり、バイクでも対向車を交わすのが難しい場所が増えました。
が、徳島県に入っても対向車とは一度も出合いませんでした…!!
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あちこちの道路に水が滝のように流れていました。
そのうち道がなくなっちゃうんじゃないかと心配です。
カーブが多い上、道路が濡れているので20km/h以上では
走れず、ナビが出した時間をかなりオーバーしました。
一台も車を見なかったはずです…。
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いよいよ徳島県に入ります。
何も書かれていませんが、東山峠(標高638m)でしょう。
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やっぱり香川県とは山の高さと迫力が違います。
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でも道は同じ…。林道ではなく、これで県道です。
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同じ山ですから、岩も香川県側と同じ。
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湿気は香川県側より多いかもしれません。
シダ類がずいぶん大きく育っているため!?
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山の中に突如、立派な神社が出現しました! 地図によれば新田神社です。
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ZOOMERを停めた位置から、新田神社の反対側を撮りました。
かなり下ってきたとはいえ、まだまだ高い位置(標高367m)にあります。
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同じような岩盤を見ながら下りていると、橋が見えました!
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橋が気になって気になって、どこでも1,2枚しか撮らない私が
この橋だけ7,8枚も撮っていました。
ここを右折して橋を渡ったら、空海の「一升水」へと続く
林道の起点というか、「柳沢」集落へ行ける気がしたのです。
 
しかし、ガソリンが危ない!?
去年の10月に乗った帰りに給油しないまま、今日は
StudioAikawaから約2時間、ガソリンスタンドが1軒もなかったので
「一升水」へ行けたとしても帰れなくなる可能性が!?
ということでガソリンスタンドを検索しました。
やはり下の12号線まで行かないとスタンドはありません。
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あ、あの橋を左折です。以前来た「昼間」という地名。
私はすぐに「ヒルメ」の訛り(語尾変化?)かと妄想しますが。
 
ガソリンを入れながら、ふと、次に行こうとしていた龍王
近いんじゃないかと調べたら、12分と出ました。もちろん嘘?!
実際には時速0〜3km/hで走らなくてはなりませんでした。
でもガソリンスタンドのおじさんに
「柳沢へ行くなら、錆びたような色の橋を渡るしかないよ」
と教えてもらったので、先に東みよし市龍王へ行くことに。
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期待の高まる地名ばかりですねぇ。
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ところが、こんな感じの道が未舗装路に変わってしまい、
急勾配の坂でバイクが後ずさりし始めました!?
方向転換するのも一苦労。やっとこさ下り始めたところへ
軽トラに乗ったおじいさんが上がってきたので
すれ違いざまに「この先には何かありますか?」と訊くと
「なんちゃない」と断言されました。
古い讃岐弁と同じで、「なんもない」とは言いません。
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通る人も滅多にいない道が春色に染まっていました!
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再度、地図を見直すと、あの橋を渡らなくてはならなかったのに
ナビが指示を出さなかったため通り過ぎてしまったようです。
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橋を渡ると、集落の地図がありました!
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しかし、行けども行けども谷的神社なるものはありません。
ともかくGoogle Mapsには案内図にある道すら載っておらず
ナビは全く役に立ちません。
第一、山の中でWiFiが機能せず、頼れるのは携帯だけ…。
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わかりづらいですが、コンクリート製の小さな橋を渡ります。
きっと、この橋の手前に左折する道があり、川を渡ると谷的神社があったのでしょう。
 
ほどなく未舗装路になったものの馬鹿力を出して登りました。
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しかし右手奥の家は無人で、左手の坂は泥濘んでいて登れません。
バイクで登るのを諦めて下向きに停め、徒歩で上がることにしました。
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いえ、厳密には様子を見ようとしただけでしたが、
川の水音も聞こえるし、何となく、黒川原谷川の源流を手中にするため
山頂に龍王を置いたのかも? という気がして登りました。
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アタリかな? と思ったのは、バイクを置いた位置から
6回ものつづら折れをトボトボ歩きながら石組みを見た時。
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形だけ残っている空き家を見ても、凄い石組みです。
 
空海が唐から持ち帰って山頂に植えたという菩提樹のもとに
真言系の修験者が集結し、一大拠点を築いていたのでは? との
妄想がフツフツと湧いてきました。
なにしろ阿讃山脈は、空海真言修験と阿波忌部の天台修験の
勢力争いが激しかったそうなので。
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そして徒歩で20分、登り切ったところ(標高461m)にあったのは…小屋?!
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いくら何でもこれは…と汗ダクで絶句して右手を見たら
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はい、こちらでした! 龍王らしく石の玉が入ってますし。
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今日はずっと曇りだったのに、このあと突然
日が射してきて光とカメラの"いたづら"?!
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未舗装路を平均2km/hで下りてきたら、舗装路との境が!
舗装路でも落石が多く、10km/hくらいしか出せませんが…。
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桜の向こうが12号線なので右折し、さっきの「錆びたような色の橋」まで戻ります。
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橋を渡って「柳沢」の表示通り進むと案内板が。
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「一升水」は遥か彼方…という感じです。
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上の案内板にあった「警鐘台」まで来ました。ここを左折して登ります。
画像左上に見えているのが最後の住宅だったようで、そこまでは舗装路、
そこから「一升水」の分岐まで約20分、未舗装路を走ることになります。
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どんどん周囲の山々が低くなってゆきます。
こちらもつづら折れが続き、やがて未舗装路に。
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途中、分岐が6回ほどありましたが、まだまだと言い聞かせて進みました。
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しかし危ないです! 水たまりや落石でタイヤが滑ると、真っ逆さまに墜ちます。
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ここをどう通り抜けるかということよりも四輪の轍があることに驚きます。
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未舗装路に入ったら、ずっと眺望のない道でした。
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やっと「一升水」の分岐に到着。
道が険しいとアスファルト舗装でなくコンクリート舗装にすると聞いてましたが、
最後の300mの急勾配がコンクリート舗装だったので楽々あがれました!!
 
なぜこんな山奥まで来てみたかと言うと、空海がこの場所で井戸を掘ってから
「こんぴら奥の院」たる箸蔵寺を創建したと書かれていたため。
ここの標高が約700mで、箸蔵山山頂が633m、箸蔵寺が550mでした。
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ん? 「一杵水」? 三好町は「一升水」としていますが?
勝手に名前を変えたのでしょうか?
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あの井戸にゴミが投げ込まれた画像を見たので、近づくのはここまで。
井戸の上の石祠が「善女龍王」でしょうか?
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讃岐の金毘羅の奥にも、「こんぴら奥の院」たる箸蔵寺の奥にも龍王がありました!
阿讃山脈に幾つもの龍王山と龍王があるのは
古来、人々にとって水源がもっとも大切だったからではないでしょうか?
大和にも龍王はありますが、水分(みくまり)神社の方が目立つ気がしますね。
 
ここからがまた大変ですが、落ちないよう気を引き締めて帰りましょう。
なにしろ1~2時間睡眠で来たので。
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泥濘の登りが続いてエンジンが異音を発している上、
凸凹道でお腹(ガソリンタンク!?)を20回ほど擦り、
満身創痍のZOOMERですが、あと一息よろしく!
錆びた色の橋まで36分でしたから、往復で1時間12分かかってました!?
その橋を右折して再び12号線へ出てから右折、
さらに池田高校三好校前を右折して32号線に出ました。
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猪ノ鼻トンネルへ向かう道から見た「天空の集落」。
あの山の向こうが高校時代に登山部で登った雲辺寺山かも?